2012年11月21日水曜日

「片手で出来る洗濯ばさみ」と想像力

夕飯を食べながら地域のニュースを見ていたら、とある商品が紹介されていました。宣伝する私にはなんのメリットもないのですが、それでもこれはすごいなあと思ったし、開発のきっかけからすると少しでも多くの人に知ってもらえるといいなあとも思ったので、紹介文を書かせていただこうと思います。

その商品は、洗濯ばさみです。



片手で出来る洗濯ばさみ
洗濯ばさみは、みなさん普段からよく使う日用品なのではないでしょうか。その洗濯ばさみが登場するのは、正攻法で考えると、洗濯物を干す場面でしょう。(お菓子の袋を閉じたりもするでしょうが、それは傍流ということで。)
そして、洗濯ばさみは多くの場合、片手に洗濯物を持って、もう片方の手で洗濯ばさみを持つ、という格好で登場してくるはずです。

岐阜県のImage Craftというメーカーでは、干すのと洗濯ばさみで固定するのとを「片手」で出来る洗濯ばさみを開発して、製造販売しているそうです。

紹介の動画も見つけたので、YouTubeの動画をここに貼っておきます。



ニュースの特集を見ながら、最初は「片手でしなくてもいいのに…」と思っていたのですが、その考えは、開発のきっかけを聞いて、覆りました。考えてみたら、片手で干すのと固定するのとを完結させられないと困る人というのも、世の中にはそれなりの人数が存在しているわけですよね。

とわざわざ書くのは、開発に乗り出すきっかけとして、「知人が脳梗塞で半身に麻痺が残って、動かせる右手と口を使って大変な苦労をしながら洗濯物を干している」という事情があったと紹介されていたからです。なるほど、半身が麻痺していたりすれば、確かに片手で完結させられないと、洗濯物を干すということの苦労は、すさまじいものになりますよね。ましてや、洗濯なんて、日々の家事の中に組み込まれてくる営みです。頻度もなかなかのことなので、累積すれば苦労やストレスもとんでもないことになるだろうということは、想像に難くないです。

でも、上述したメーカーの洗濯ばさみは、特殊な形状をしているので、固定も取り込みも簡単になっているということです。実際に使っている場面をニュースでも見ましたが、「あっ」と本当に声が漏れてしまうくらいに、目から鱗の設計でした。
確かにこれだと、手が不自由な人であったとしても、洗濯の苦労がだいぶ軽減されることでしょう。

ここに書いたところでどれほどの人が読んでくれるのかわかりませんけれど、それでも紹介したくて、こんな記事を書かせてもらいました。


人のことを想像してみる
さて、上記の話を書きながら改めて感じたのは、自分の想像力の乏しさでした。

文中で「片手でしなくてもいいのに…」と書きました。そう思ったときは、そうせざるをえない人を想定するのではなくて、自分の身体の状態を基準に何気なく考えて、そしてそれ以上のことは考えずにいました。普段はそれでも十分生活は成り立っているのですが、自分とは違う事情を背負っている人がいるんだということをおろそかにしていると、どこかで手痛いしっぺ返しを食らいそうですよね。

本筋とは離れてしまいますが、たとえばこういうグッズを見かけたときなどに、その需要がどこにあるのかということをもうちょっとじっくり考えてみる癖をつけてみても、いいのかもしれません。そうすると、自分にとっては当たり前、でもある人にとっては大きなハードルになっている、という事柄などにちょっとだけ気付きやすくなるのかもしれないです。

私は、人権とかバリアフリーとかユニバーサルデザインとかいう言葉は、言葉が先行しすぎている気がして、正直あまり好きではありません。もちろん、理念そのものを否定したいわけでは、ありませんが。でも、それらの言葉を振りかざしてしたり顔をしてくる人は、嫌いです。
とはいえ、今回の洗濯ばさみをめぐる何気ないニュースを見たときに「あっ、そうだ、自分とは置かれている状況が違う人もいるんだ」とはっとさせられた体験は、大事に覚えておきたいと思います。そういうふうに想像力を養い続けることで、どこかで誰かにそっと手をさしのべることができるとしたら、それはそれで大事なことなんだろうと思いますし。そうして他者を思いやる、とまでいかなくとも想像してみることによって、見知らぬお互いがちょっとずつ生きやすくなれば素敵だなあと、青臭いことも感じております。


おわりに
「なにこれすごい」と思った体験を元にして、洗濯ばさみの紹介と、それに関連しての連想を書いてみました。まさか洗濯ばさみの話からこんなことを書くに至るとは思いませんでしたが、心の向くままに書いてみて、よかったような気がしています。

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