2012年10月30日火曜日

式年遷宮についての豆知識

なんとなく思いたったので、式年遷宮について書いてみようと思います。

来年の平成25年に、三重県の伊勢神宮で、式年遷宮が執り行われます。今も伊勢神宮に行くと、式年遷宮に向けて、新しい社の造営などが行われているはずです。

式年遷宮ってなあに? という人向けに、手っ取り早い説明をするとすれば、神社の再生行事、ということになるでしょうか。再生といっても、滅びた状態からの再生ではなく、ちょっと古びてきたかな、という状態からまっさらな状態に戻す、というくらいのものです。神様の住居である社を新しいものにリフレッシュすることで、常に新しく、そして朽ちることのない、常しえを体現するための儀礼であるようです。
ちゃんとした説明は、伊勢神宮のWEBサイトなどで確認できますので、そちらも参照してください。

さて、遷宮は、読んで字のごとく、宮を遷(うつ)す、という営みです。単に社を建て替えるのではなく、遷す、というところに、そのおもしろさがあります。
建て替えるというと、今あるものを一度取り壊してそこに新たに作り直すというイメージが浮かぶことでしょう。でも、遷宮の場合は、今ある社のすぐ近くに確保してある土地に社を建てて、そこに引っ越しをする、というようなイメージの儀式が執り行われるそうです。
大事なことなので二度書きますが、建て替えではなく、引っ越し、です。同じものを別の場所に作って、そこに引っ越すわけです。距離的には大移動ではなく、ちょっとした移動ですむものですが。
でも、定期的(伊勢神宮なら20年に一度)にそのような儀礼を執り行うということを考えると、造営費をはじめとして、金銭も時間も、すさまじい労力がそこに注ぎ込まれることは、想像に難くないことでしょう。それでも、上述のように、これからもずっと新しい姿で永続していきますよということを示すために、この遷宮は古から脈々と執り行われてきているわけです。

そのようなわけで、伊勢神宮に限らず、あの辺りの神社は、遷宮用の用地をちゃんと持っています。もしそうした用地を見たければ、伊勢神宮に直接行ってしまうよりも、その周辺でもう少し小規模の神社を訪れる方が、用地は見やすいことでしょう。私自身伊勢神宮に詣でたことはありますが、伊勢神宮はさすがの格式というか、大きな囲いをされてしまっていて、用地が却って見にくくなってしまっていたような覚えがあります。

伊勢市内だったら、月読宮に行けば、遷宮用の土地がどんな様子なのか、よくわかります。また、ちょっと離れたところでいえば、大紀町の瀧原宮でも、遷宮用の土地が社の隣にぽっかりと空いているのがよくわかることと思います。(来年の遷宮を迎えて、それぞれ造営などが始まってしまっているかもしれませんが。)

伊勢神宮の遷宮に向けてなのかわかりませんが、伊勢神宮周辺の市営駐車場は、それまでの無料から方針転換をして、2012年2月からは有料化に踏み切られています。有料化についての意見の賛否は今なお分かれているようで、「駐車場有料化から7か月、観光客離れ懸念の声も…三重」のような記事も最近になっても出ています。私はといえば、駐車場が無料だということが嬉しくてよく行っていたタイプの人間ですので、有料化以降は敬遠してまったく行っていないのですが…。そのへんは、人それぞれでしょうね。観光で出向く人は、有料だろうが無料だろうが、そこを使わざるを得ないという現実もあると思いますし。

どのような形で伊勢市が伊勢神宮とこの先つきあっていくのかということ自体、とても興味深いテーマではあります。でもそれは個人を超えた話だという気もするので、それはそれで頭の片隅に置いておくくらいがちょうどいいのかもしれません。まずは近くにお立ち寄りの際には、今ある社殿を見るのみならず、遷宮に向けての種々の準備を眺めてみるのも、おもしろいかもしれません。

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